岡野浩二の本に

「真・善・美」って書いてある。哲学としてはカビのはえた、御言葉ではあるが、幸い芸術にはまだ有効だ。俺は、図々しく持論を言う。写真が「真」を写さねばならないのは世界がウソに染まっているからや。文学は「善」を目指すのは、作家はろくでなしの悪人だからで、美術は「美」を求めるのは、画家の薄汚ねぇ功名心が綺麗な仮面をかぶりたがんのさ。ま、「清廉潔白」な人は普通に奈良美智の絵にせいぜい犯されてしまえ。